「収入を増やしたいが、子どもを夜間に一人にすることへの不安がある」——夜勤を検討しているシングルマザーの多くが抱える悩みです。この記事では夜勤のメリット・デメリット・子どもの預け先・年齢別の判断基準・緊急時の備えまで、実用情報を中心に整理します。「夜勤をすべき」でも「やめておくべき」でもなく、判断材料を整理するための記事です。
シングルマザーが夜勤をするメリット

夜勤を検討しているなら、まずポジティブな面を正確に把握しましょう。
メリット①:夜勤手当で収入が大幅アップする
深夜割増賃金は労働基準法で25%以上と定められています。同じ時間働いても、日勤より収入が大きく増えます。
| 職種 | 夜勤手当の目安 | 月3回夜勤の収入増目安 |
|---|---|---|
| 看護師 | 1回8,000〜15,000円 | 月2〜4万円程度 |
| 介護士 | 1回5,000〜10,000円 | 月1.5〜3万円程度 |
| 工場・倉庫 | 深夜時給+25〜50円程度 | 月1〜2万円程度 |
| コンビニ・飲食 | 深夜時給+25%以上 | 週2〜3日で月1〜2万円 |
月に数回夜勤を入れるだけで月収が数万円変わります。年間では数十万円の差になるケースもあります。
メリット②:昼間の時間が自由になる
夜勤専従または夜勤ありの働き方では、日中の時間帯が空きます。「子どもの学校行事への参加」「PTA活動」「習い事の送り迎え」など、日勤のみと比べて対応しやすくなります。
子どもが起きている時間に一緒にいられることは、シングルマザーにとって特に大きなメリットです。「夜は仕事・昼は子どもと一緒」という生活リズムが合うタイプの方には向いている働き方です。
シングルマザーが夜勤をするデメリット

メリットの後にデメリットを正直に確認しておきましょう。判断材料を整えることが目的です。
デメリット①:体力的な消耗が大きい・夜勤明けに育児が待っている
夜勤は長時間かつ不規則な生活リズムになるため、身体的な消耗が日勤より大きいです。「夜勤明けで帰宅しても子どもの朝の支度・登校があり、そのまま眠れない」というケースは多く聞かれます。看護・介護職の夜勤は緊急対応が発生するため、精神的な緊張も続きます。「夜勤明けに家事・育児をこなせるか」という体力面の見極めが最初のポイントです。
デメリット②:子どもの夜間の預け先確保がハードル
夜間は保育園・学童など一般的な預け先がほぼ機能しません。実家・夜間保育園・ベビーシッターなど、限られた選択肢を確保する必要があります。実家を頼れない場合は夜勤のハードルが大幅に上がります。それでも工夫次第で実現しているシングルマザーは多いです。「預け先が確保できるかどうか」が夜勤の可否を決める最大の要素です。
デメリット③:子どもの生活リズムへの影響・寂しさの問題
子どもが夜間に親がいないことへの不安・寂しさを感じやすいことは事実です。特に小さい子どもほど影響が大きいです。「稼ぐために夜勤を選んだが、子どもが寂しがるようになってやめた」という声もあります。子どもの年齢・性格・預け先の環境によって大きく変わるため、子どもの様子を見ながら月2〜3回から試してみることをおすすめします。
デメリット④:夜勤手当が収入として計算され、児童扶養手当に影響する場合がある
夜勤手当を含む収入増加が所得制限に影響し、児童扶養手当の減額・停止につながる可能性があります。「夜勤で収入が増えたら手当が減って実質的な収入増が少なかった」というケースも存在します。夜勤を始める前に、現在の収入と手当の関係を市区町村の窓口で確認しておくことが重要です。

夜勤中の子どもの預け先:状況別の選択肢と現実的な使い方

「夜勤をしたいが子どもの預け先がない」という読者の最大の課題に答えます。各選択肢の費用・注意点を確認して、自分の状況に当てはまるものを探してください。
①実家・親族への預かりが最も現実的(費用ゼロ・信頼性が高い)
実家・親族への預かりは費用・安心感の両面で最もハードルが低い選択肢です。「頼ることへの遠慮」を感じるシングルマザーは多いですが、夜勤手当でお礼を渡す・食事を作っておくなど感謝を形にすることで、継続的に頼りやすくなります。
②夜間対応の認可外保育園:費用が高いが確実性が高い
夜間・24時間対応の認可外保育園は、預け先として確実性が高いです。費用の目安は3歳未満で月5〜10万円程度です。3歳以上は認可外保育園への無償化補助(月3.7〜4.2万円が上限)が受けられる場合があります。ただし日中も認可保育園を利用している場合は、無償化の補助対象外になるケースがあるため事前に自治体に確認してください。
③院内保育・職場内託児所:看護師・介護士なら最初に確認すべき選択肢
医療・介護施設の多くが院内保育所を設置しており、夜間保育に対応しているケースがあります。転職・求人を探す際に「夜間保育あり」を条件に入れることをおすすめします。院内保育は認可外のため無償化の対象外になるケースが多いですが、費用補助が職場から出る場合もあります。求人票または面接時に確認しましょう。
④ベビーシッター:自宅で預かってもらえる・夜間も対応可
夜間対応のベビーシッターサービスは、自宅に来てもらえるため子どもが環境の変化を感じにくいメリットがあります。費用相場は1時間2,500〜3,000円+交通費程度です。内閣府の「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」を活用すると費用を大幅に抑えられる場合があります。勤務先が対象かどうか確認してみましょう。
参考:こども家庭庁|仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育事業 等)
⑤ファミリーサポートセンター:地域によっては宿泊保育も対応(費用が比較的安い)
全国のファミリーサポートセンターのうち約10%が宿泊を伴う保育に対応しています。費用は1時間600〜800円程度と認可外保育園・ベビーシッターより安いです。ただし対応地域・会員登録・事前マッチングが必要です。まず地域のファミリーサポートセンターに連絡して、宿泊対応の可否を確認するところから始めましょう。
⑥子育て短期支援事業(ショートステイ):緊急時・定期利用にも使える公的制度
自治体が実施する「子育て短期支援事業(ショートステイ)」を夜勤時の定期的な預け先として活用できる場合があります。費用は所得に応じて0〜数百円程度の自治体もあります。夜勤を定期的に入れる前に市区町村の窓口でショートステイの利用可否を確認しておきましょう。
| 預け先 | 費用目安 | 夜間対応 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 実家・親族 | ほぼゼロ | ○ | 信頼性が高い。頼れる場合に限る |
| 夜間認可外保育園 | 月5〜10万円(補助あり) | ○ | 確実だが費用が高い |
| 院内保育 | 職場補助あり | ○ | 看護・介護職の求人時に確認 |
| ベビーシッター | 1時間2,500〜3,000円 | ○ | 自宅対応・補助制度あり |
| ファミサポ(宿泊可) | 1時間600〜800円 | 一部○ | 事前登録・マッチングが必要 |
| ショートステイ | 0〜数百円程度 | ○ | 公的制度・窓口で要事前確認 |
子どもの年齢別:夜勤を始めるタイミングの考え方

「今の子どもの年齢で夜勤していいか」という判断に役立つ年齢別の目安を整理します。「今は難しくても○歳になれば現実的になる」という見通しを持つことが大切です。
0〜2歳(未就学児・低年齢):夜間の預け先確保が最難関の時期
夜泣き・急な発熱が多い0〜2歳は夜間保育施設が少なく、夜勤のハードルが最も高い時期です。この時期に夜勤を入れる場合は、確実な預け先(実家・夜間保育)の確保が大前提です。無理に夜勤をしなくても、この時期が終われば選択肢が増えます。「今は夜勤なし・数年後に再開」という時間軸で考えることも一つの選択です。
3〜5歳(保育園・幼稚園):夜間保育園・ベビーシッターの活用で現実的になる
3歳以上になると夜間保育園の受け入れ対象に入りやすくなり、子ども自身もある程度環境の変化に対応できるようになります。週1〜2回の夜勤から様子を見ながら増やす段階的なアプローチをおすすめします。
小学生(6〜12歳):留守番の年齢と状況に応じて夜勤が現実的になる
小学校高学年以降は子ども自身が留守番できる年齢に近づきますが、「何歳から一人の夜間留守番が可能か」に法的な規定はありません。子どもの成熟度・地域環境・物件のセキュリティによります。低学年の間は留守番なしの夜勤が基本です。高学年になって「一人でも大丈夫」という判断ができるようになったら、段階的に試してみましょう。
中学生以上:夜勤のハードルが大きく下がる時期
中学生以上になると留守番が現実的になり、夜勤のハードルが大幅に下がります。夜勤前に子どもと以下のことを決めておきましょう。
- 緊急連絡先(職場・かかりつけ医・近所の大人)の共有
- 鍵の管理(スペアの保管場所)
- 夜食・翌朝の食事の準備
- 就寝時間のルール
- 帰宅後の連絡方法(LINEなど)
子どもに状況を正直に話し、理解を得た上で夜勤を始めることが長続きのポイントです。
夜勤中に子どもが急病・緊急事態になったら:事前の備えと対処の流れ

「夜勤中に子どもに何かあったら」という不安は多くのシングルマザーが持っています。事前に備えを整えておくことで、その不安を大きく減らせます。
夜勤前に決めておく「緊急連絡網」:子ども・職場・預け先の三者で共有する
夜勤前に「子ども→預け先(実家・ベビーシッター等)→職場(夜勤リーダー)」という連絡の流れを決めておくことが重要です。
以下の3点を事前に確認・取り決めておきましょう。
- 子どもが自分で連絡できる年齢かどうか
- 預け先が緊急時に病院に連れて行けるかどうか
- 職場に途中帰宅できる条件があるかどうか
子どもだけで留守番中に緊急事態が起きた場合:年齢別の対応準備
小学校高学年〜中学生が一人で留守番する場合の準備を整えておきましょう。
| 準備の内容 | 低学年(6〜9歳) | 高学年(10〜12歳) | 中学生以上 |
|---|---|---|---|
| 救急車の呼び方 | 大人と一緒に練習する | 確認済みにする | 自分でできる |
| かかりつけ医の番号 | 冷蔵庫に貼る | 冷蔵庫に貼る+スマホに登録 | スマホに登録 |
| 職場番号の共有 | 預け先に渡す | 子ども・預け先両方に | 子どもに共有 |
| 近所の信頼できる大人 | 事前に挨拶・お願いしておく | 同左 | 把握しておく |
夜勤前に子どもと一緒に確認する習慣をつけましょう。
職場への事前交渉:「子どもの急病時に途中帰宅できるか」を入職前に確認する
夜勤中に子どもの緊急事態が起きた際、途中帰宅・早退できる職場環境かどうかを採用面接時に確認することが重要です。「シングルマザーであることを最初から伝え、子どもの急病時に対応できる職場かどうか」を見極めることが、長く続けられる職場選びの第一歩です。
シングルマザーが職場に満足している最大の理由が「職場からの理解」であることが調査で示されています。理解のある職場かどうかを面接時に確認しましょう。
シングルマザーが夜勤で選ぶべき職種と職場:3つの確認ポイント

どんな仕事で夜勤をするかによって、収入・体力消耗・育児との両立しやすさが大きく変わります。職種の特徴と職場を選ぶ際の判断軸を整理します。
看護師・介護士:夜勤手当が高く収入アップ効果が大きい
看護師・介護士の夜勤は手当が高く(1回5,000〜15,000円程度)、月に数回入れるだけで大幅な収入増になります。一方で夜勤中に緊急対応が発生するため精神的な緊張が続き、夜勤明けに育児が待っているという体力的な消耗も大きいです。子育て支援制度が整っている職場・夜勤回数を相談できる職場を選ぶことが重要です。
工場・物流(夜間ライン・倉庫作業):資格不要で比較的入りやすい
工場・倉庫・物流の夜間ライン作業は資格不要・未経験可の求人が多く、深夜割増賃金で時給が上がります。決まった作業を繰り返すため精神的な疲労が看護・介護より少ないという特徴があります。深夜シフトが確定しているため預け先の手配が立てやすいという点も、育児との相性の良さとして挙げられます。
コンビニ・飲食(深夜パート):隙間を埋める副収入として使いやすい
子どもが中学生以上で留守番が可能になった場合や、週1〜2回の短時間夜勤を追加したい場合に、コンビニ・飲食の深夜パートが入りやすい選択肢です。フルタイムの昼の仕事に加えて、週末の深夜だけ入るという副業的な使い方も可能です。
職場を選ぶときに確認すべき3つのポイント
夜勤のある職場を選ぶ際は、以下の3点を必ず確認しましょう。
① 子どもの急病・学校行事で急に休めるか(シングルマザーへの理解がある職場か)
② 夜勤回数を相談して調整できるか(入ってみて合わなければ減らせるか)
③ 夜勤明けの勤務がどうなっているか(夜勤明けに続けて日勤が入るようなシフトは避ける)
面接時に「シングルマザーで子どもの急病時に休む可能性がある」と正直に伝えた上で、理解してもらえる職場かどうかを確認しましょう。最初から伝えることで、長続きする職場かどうかの見極めになります。
「夜勤をやめる」という判断:無理をしないことも選択肢のひとつ

夜勤を始めてみたものの、続けることが難しいと感じる場合があります。「やめる」という判断も大切な選択肢です。
「夜勤をやめた」シングルマザーに共通するパターン:どんな時が限界のサイン?
以下のサインが続くようであれば、夜勤の見直しを検討してください。
- 子どもへのイライラが増えた
- 子どもが寂しがるようになった
- 夜泣きが増えた
- 自分が体調を崩し始めた
- 風邪が長引く
- 夜勤明けで何もできない日が続いている
やめる判断は失敗ではありません。今の状況に合った最善の判断です。
夜勤なしでも収入を確保できるか:日勤に切り替える前に確認すること
夜勤をやめた場合の収入減をどう補うかを確認しておきましょう。
- 日勤のみで昇給・資格取得で時給単価を上げる
- 転職先を変えて日勤の基本給を上げる
- 在宅ワーク・副業で収入を補う
夜勤手当に依存しない収入設計を考えておくことで、「やめたくても収入が心配でやめられない」という状況を防げます。
「今は夜勤なし・子どもが大きくなったら再開」という段階的な選択
今の子どもの年齢・状況では夜勤が難しくても、数年後に再開できます。夜勤ができる年齢になるまでの期間、日勤で経験・スキルを積むというキャリアの時間軸で考えることも一つの方法です。今やめることは将来の可能性を閉じることではありません。

夜勤と育児を両立させるための工夫

夜勤をしながら育児を回している先輩シングルマザーの実践的な工夫を整理します。
夜勤前日に家事を前倒しする:夜勤明けに何もしなくていい状態を作る
夜勤前日に夕食・翌日の弁当・洗濯を済ませておくことで、夜勤明けに帰宅して即休める体制が作れます。「夜勤明けに料理・掃除をしようとして体が持たない」というのは多くの方が経験する失敗です。家事の「先送り」ではなく「前倒し」という発想に切り替えることがポイントです。
子どもと事前に「夜勤のルール」を決めておく
夜勤がある日のルールを子どもと一緒に決めておくと、子どもも安心します。ルール作りを通じて子どもが自立する良い機会にもなります。
| 子どもの年齢 | ルールの例 |
|---|---|
| 小学校低学年 | 緊急連絡先を冷蔵庫に貼る・就寝時間・翌朝の連絡方法 |
| 小学校高学年 | 鍵の管理・夜食の準備(温めるだけの状態で冷蔵庫に)・緊急時の対応手順 |
| 中学生以上 | 帰宅後のLINE連絡・就寝時間・翌朝の自分での準備 |
週の夜勤回数をコントロールする:最初は月2〜4回から様子を見る
いきなり夜勤を増やしすぎると体力・子どもへの影響の両面で続かなくなるリスクがあります。まず月2〜4回から始めて、子どもの反応・自分の体力・収入のバランスを確認してから調整しましょう。夜勤を増やすのはいつでもできます。まず無理のない範囲で試すことが長続きの秘訣です。
まとめ:夜勤は「子どもの預け先」と「体力管理」が整えば有力な選択肢になる
夜勤はシングルマザーにとって収入を大きく増やせる有効な手段ですが、「子どもの年齢・預け先の確保・体力管理・職場の理解」という4つの条件が整っているかどうかが判断の軸になります。
夜勤を始める前の確認チェックリスト
□ 子どもの夜間の預け先が確保できているか
□ 子どもの年齢・成熟度で夜勤が可能か判断したか
□ 夜勤前日の家事前倒しの仕組みを作れるか
□ 子どもの急病時に途中帰宅できる職場かどうか確認したか
□ 夜勤手当が児童扶養手当に影響しないか確認したか
□ 子どもと夜勤のルールを話し合ったか
無理をしないことも大切な選択です。月2〜4回の夜勤から様子を見ながら、自分と子どものペースで調整していきましょう。
※本記事の情報は2026年時点のものです。制度・金額・支援内容は改定される場合があります。最新情報は各公的機関の公式サイトまたはお住まいの市区町村窓口でご確認ください。
参考・出典
- 厚生労働省「深夜業の割増賃金について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/
- こども家庭庁「仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育事業 等)」https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/ryouritsu
- こども家庭庁「子育て短期支援事業(ショートステイ)」https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateShien/
- こども家庭庁「ファミリー・サポート・センター事業」https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateShien/
- こども家庭庁「ひとり親家庭等関係」https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/
