養育費はいくらもらえる?年収・子どもの人数別の相場と2026年法改正の新ルールを解説

「養育費はいくらもらえるの?」「相手が提示してきた金額は相場なの?」——離婚を前にした多くの方が抱える疑問です。この記事では年収・子どもの人数別の具体的な相場と、2026年4月に施行された法改正による新ルール(法定養育費・先取特権)を解説します。養育費は子どもの権利です。正しい相場を知って、適切に取り決めましょう。

目次

養育費の相場:まず全体の目安を把握しよう

まず養育費の全体的な相場感をつかんでおきましょう。具体的な計算方法は次のセクションで解説します。

全国平均は月額4〜5万円:ただし「もらえていない」世帯が多いのが現実

厚生労働省の調査によると、養育費を受け取っている母子世帯の平均月額は約5万円です。しかし深刻な現実があります。実際に養育費を継続して受け取れている母子世帯は約28%に過ぎません。
「払ってもらえている人は月5万円もらっているが、4人に3人は受け取れていない」という状況です。相場を知り、書面で適切に取り決めることが養育費を受け取り続けるための第一歩です。

養育費は「算定表」で決まる:裁判所が公表する目安の早見表

養育費の金額は、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」が事実上の基準です。調停・審判・裁判では、この算定表に基づいて金額が決定されます。
お互いが納得していれば算定表と異なる金額でも合意できます。ただし「もめた場合はこの表が基準になる」という事実を知っておくことが、交渉の武器になります。算定表は裁判所のホームページで公開されています。
参考:裁判所|養育費算定表

養育費の金額を決める3つの要素:相手の年収・自分の年収・子どもの人数と年齢

養育費の金額は以下の3つの要素で決まります。

  • ①義務者(支払う側)の年収:高いほど養育費が上がる
  • ②権利者(もらう側)の年収:高いほど養育費が下がる(見落とされがちな点)
  • ③子どもの人数と年齢:人数が多いほど増える。15歳以上は指数が上がる

「相手の年収だけで決まる」と思っている方が多いですが、自分の年収も関係します。自分の収入が上がると養育費が下がる場合があります。次のセクションで具体的な金額を確認しましょう。

年収・子どもの人数別の養育費の目安【早見表】

「相手の年収が●円なら養育費はだいたい●万円」という具体的な金額を表で確認しましょう。以下は裁判所の算定表をもとにした目安です。自分の年収が低い(パート・非正規)ケースを基準に整理しています。

※上記は目安です。実際の金額は双方の年収・子どもの年齢・状況によって変わります。正確な金額は裁判所の算定表または弁護士・法テラスに確認してください。

相手の年収300万円の場合:子1人で月2〜4万円が目安

支払う側の年収が300万円程度(手取り月収約20万円)の場合、養育費の目安は以下の通りです。

子どもの人数・年齢受け取る側の年収0〜100万円受け取る側の年収100〜200万円
子1人(0〜14歳)月2〜3万円月2万円前後
子1人(15歳以上)月3〜4万円月2〜3万円
子2人(0〜14歳)月3〜5万円月3〜4万円
子3人(0〜14歳)月4〜6万円月3〜5万円

相手の年収400〜500万円の場合:子1人で月4〜6万円が目安

最も多い「元夫が会社員でそこそこの年収がある」ケースです。

子どもの人数・年齢年収400万円の目安年収500万円の目安
子1人(0〜14歳)月4〜5万円月5〜6万円
子1人(15歳以上)月5〜6万円月6〜7万円
子2人(0〜14歳)月6〜8万円月7〜9万円
子2人(片方15歳以上)月7〜9万円月8〜10万円
子3人月8〜10万円月9〜12万円

自分(受け取る側)の年収が上がると養育費が下がります。「転職して年収が上がったら養育費が減った」というケースがあるため、取り決め時に将来の収入変化を考慮しておくことも重要です。

相手の年収600万円以上の場合:子1人で月6〜8万円以上になるケースも

相手が高収入にもかかわらず低い金額を提示された場合、算定表の本来の金額と比べてみましょう。

子どもの人数・年齢年収600万円の目安年収700万円の目安年収800万円の目安
子1人(0〜14歳)月6〜7万円月7〜8万円月8〜9万円
子1人(15歳以上)月7〜8万円月8〜9万円月9〜10万円
子2人(0〜14歳)月9〜11万円月10〜12万円月11〜14万円
子3人月12〜14万円月13〜16万円月15〜18万円

算定表の金額を超える高収入のケース(年収2,000万円超など)は、算定表の枠にとらわれず交渉できます。弁護士への相談をおすすめします。

注意:年収は「手取り」ではなく「総支給額(税込)」で計算する

相手から「手取りはこれだけしかない」と低い金額を提示された場合、注意が必要です。養育費算定は源泉徴収票の「支払金額(税込み総額)」で計算するのが原則です。

例:税込み年収500万円・手取り年収約390万円の場合
・手取りで計算した場合の養育費目安:月3〜4万円
・税込み年収で計算した場合の養育費目安:月5〜6万円 → 手取りで計算すると本来より月1〜2万円低くなります

相手が「手取りが少ない」と主張してきた場合は、源泉徴収票の「支払金額」の提示を求めましょう。

【2026年4月施行・法改正】養育費のルールが大きく変わった

2026年4月1日の改正民法施行により、養育費に関する2つの重要な新制度が始まりました。離婚を検討中または離婚直後の方は必ず確認してください。

2026年4月1日施行の新制度
①法定養育費:取り決めがなくても子1人あたり月2万円を請求できる
②先取特権の新設:合意書だけで給与・預金の差押えができるようになった
※どちらも2026年4月1日以降に離婚したケースのみ対象。遡及適用なし。

法定養育費:取り決めがなくても月2万円を請求できるようになった

2026年4月1日以降に離婚した場合、養育費の取り決めをしていなくても子1人あたり月2万円の「法定養育費」を離婚日に遡って請求できるようになりました。

  • 子1人:月2万円
  • 子2人:月4万円
  • 子3人:月6万円

2026年4月以降に離婚→法定養育費を請求できる(離婚日に遡及)

2026年4月1日以降に離婚した場合、取り決めがなくても法定養育費として月2万円を請求できます。離婚日にさかのぼって請求することが可能です。

2026年4月より前に離婚済み→法定養育費の対象外(現行法で対応)

要:2026年4月より前に既に離婚している方には法定養育費は適用されません。取り決めなしの場合は「養育費請求調停」を家庭裁判所に申し立てることで今後の養育費を請求できます。

先取特権:合意書だけで差し押さえができるようになった

改正前は給与・財産の差押えに「公正証書・調停調書・判決書」などの債務名義が必要でした。2026年4月以降は父母間の合意書(私文書)や法定養育費に基づいて、直接差押えの申立ができるようになりました。

「公正証書を作っていなかったから差し押さえできない」という誤解が解消されます。ただし先取特権による差押えは手続きが複雑です。実際に使う場合は弁護士または法テラスへの相談を強くおすすめします。
参考:法務省|親権・養育費・親子交流などに関する民法等改正の解説

法定養育費の2万円は「少なすぎる」?:制度の限界と正しい使い方

法定養育費の月2万円は、多くの方が「少なすぎる」と感じるはずです。実際、算定表に基づく適正な養育費は多くのケースで月2万円を大幅に上回ります。
法務省の説明通り、法定養育費は「取り決めができるまでの暫定的な最低保障」です。法定養育費を受け取りながら、並行して調停や交渉で算定表に基づく適正額を求めることが正しい使い方です。

養育費が相場より高くなる・低くなるケース

算定表はあくまで「標準的なケースの目安」です。事情によって増額・減額できる場合があります。自分の状況で増額を主張できるか確認しましょう。

養育費が相場より高くなりやすいケース

以下の事情がある場合、算定表の金額より高い養育費を請求できる可能性があります。

  • 子どもに障害・持病がある:医療費・療育費が通常より高い場合は加算を請求できる
  • 私立学校への進学:算定表に含まれていない学費・入学金を別途請求できる場合がある
  • 習い事・塾代:双方が合意していれば算定表に上乗せして請求できる
  • 子どもが15歳以上:指数が高くなるため算定表上の金額が上がる
  • 相手が算定表の上限を超える高収入:算定表の枠にとらわれず交渉できる

養育費が相場より低くなりやすいケース

以下の事情がある場合、相手から減額を求められることがあります。ただし「減額には合意または裁判所の決定が必要」であり、相手から一方的に減らされる理由はありません。

  • 自分(受け取る側)の収入が高い:收入が増えると算定表上の金額が下がる
  • 相手が再婚して扶養家族が増えた:減額請求が認められる可能性がある
  • 相手が住宅ローンを支払いながら子どもの住む家の費用も負担している:考慮される場合がある

「相手から一方的に金額を下げられた」という場合でも、合意していなければ元の金額を請求する権利があります。

相手が自営業・フリーランスの場合:年収の計算方法が変わる

自営業者・フリーランスの「年収」は、確定申告書の「所得金額(収入から必要経費を引いた額)」が基準になります。ただし実態に即さない場合(過少申告・必要経費の水増し)は補正が入ることがあります。
「相手が自営業で年収が低いと言っている」という場合は、確定申告書の提示を求めましょう。実態と乖離がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。

養育費はいつまでもらえる?支払い終期の考え方

「いくらもらえるか」と同じくらい重要なのが「いつまでもらえるか」です。養育費の終期を正しく把握しておきましょう。

原則は「18歳(高校卒業)まで」だが大学進学なら22歳まで延長できる場合も

養育費の終期の原則は「子どもが18歳に達する月まで(高校卒業まで)」または「成人になるまで」です。ただし離婚時の取り決めで「大学卒業まで」と明記しておけば22歳3月まで継続できます。

大学進学が想定される場合は、離婚時の取り決めに「大学卒業(または大学を卒業する月)まで」と明記しておくことが非常に重要です。後から変更を求めることは難しいため、最初の取り決めが鍵になります。

養育費の総額で考える:月4万円×15年=720万円

養育費を月額だけでなく「総額」で考えてみましょう。子どもが3歳のときに月4万円の養育費を18歳まで受け取った場合、総額は4万円×180か月=720万円になります。

養育費の総額試算例
・月3万円×15年(180か月)=540万円・月5万円×15年(180か月)=900万円
・月5万円×19年(228か月・大学卒業まで)=1,140万円
→ 取り決めをするかしないかで、子どもの将来に影響する金額の差が生まれます

取り決めをせずに離婚することのコストは、数百万〜千万円規模になりえます。必ず書面で取り決めをしてください。

再婚した場合:相手が再婚しても養育費の支払い義務は続く(原則)

相手(支払う側)が再婚しても、養育費の支払い義務は原則として続きます。ただし以下のケースでは減額が認められる可能性があります。

  • 相手の再婚相手と子どもが養子縁組をした場合(再婚相手にも扶養義務が生じるため)
  • 相手に扶養家族が増え、生活が著しく困難になった場合

自分(受け取る側)が再婚した場合も、再婚相手が子どもを養子縁組した場合は養育費が減額・停止になることがあります。「再婚したら自動的に養育費がなくなる」という誤解がありますが、養子縁組がなければ原則として続きます。

【体験談】私が算定表より低い金額を「あえて飲んだ」理由

「算定表通りの金額を請求することが必ずしも正解ではない」という、私の体験談お伝えしたいと思います。

元夫から算定表より低い金額を提示された:最初は納得できなかった

離婚交渉の中で、元夫から算定表の目安よりも低い養育費の金額を提示されました。算定表で計算すれば、私の状況ではもう少し高い金額になるはずでした。最初は「本来の金額を受け取りたい」という気持ちが強く、正当な金額を求めて争うつもりでいました。

姉と友人からもらったアドバイス:「払う意思がある金額を大事にして」

相談した姉と友人から、こんなアドバイスをもらいました。「向こうから提示してきたということは、その金額なら払うつもりがあるということ」「金額を上げようとして心証が悪くなり、途中で払われなくなる方が長い目で見て損だよ」という言葉でした。
この考え方は法律的な正解ではないかもしれません。でも「毎月確実に振り込まれることの価値」を改めて考えたとき、確かにそうだと感じました。

結果:5年経った今も減額も未払いもなく続いている

あえて低い金額を受け入れてから5年間、減額も未払いもなく養育費が振り込まれ続けています。
これが必ずしも正解とは言えません。算定表通りの金額を求めることも当然の権利です。ただ、養育費は総額で考えたとき、少し低くても毎月確実に振り込まれる方が、高い金額で争って途中で止まるよりずっと大きな意味があると私は感じています。一つの考え方として、参考にしてもらえればと思います。

養育費を確実にもらうための取り決め方と書類の作り方

「いくらもらえるか」の次に重要なのが「確実に受け取るためにどうするか」です。口約束で決めて払われなくなるという最悪のパターンを防ぐ方法を整理します。

口約束は絶対にNG:必ず書面で残す

口約束での取り決めは「言った言わない」になりやすく、裁判になった場合の証拠になりません。最低限「離婚協議書」に養育費の金額・支払日・振込口座・終期・増額減額の条件を明記してください。
「書面がなければ請求できないわけではないが、証拠がないと争いになりやすい」というのが現実です。書かなければもらえなくなるリスクがあります。

公正証書の作り方:未払い時に差し押さえができる最も強い書類

公正証書(強制執行認諾条項付き)を作成しておけば、未払い時に裁判を経ずに給与・預金口座を直接差し押さえできます。

書類の種類差押えできるか費用・場所
口約束のみできないなし
離婚協議書(私文書)直接はできない(訴訟が必要)ほぼなし(自作可)
公正証書(強制執行認諾条項付き)できる(最も確実)数万円程度・公証役場
調停調書・審判書できる(+履行勧告も可能)家庭裁判所で手続き

2026年改正後は合意書だけでも先取特権が使えますが、公正証書の方が証拠力が高く確実です。可能な限り公正証書の作成をおすすめします。

養育費の取り決めをしないまま離婚してしまった場合:今からでも請求できる

離婚時に取り決めをしなかった場合でも、「養育費請求調停」を家庭裁判所に申し立てれば養育費を請求できます。費用は収入印紙1,200円(子1人あたり)と郵便切手代のみです。
2026年4月以降に離婚した場合は法定養育費制度(月2万円)も活用できます。今からでも遅くありません。子どもが成人するまでは請求する権利があります。

養育費が払われなくなったときの対処法:未払い時のステップ別対応

「取り決めたのに払ってもらえない」という場合、段階的に対応しましょう。まず自分でできることから始めて、必要に応じて法的手段へ進みます。

Step1:内容証明郵便で支払いを催告する

未払いが続いたら、まず内容証明郵便で「〇月〇日までに支払うよう求める」と催告します。内容証明は「いつ・何を請求したか」の証拠になり、時効の完成猶予にもなります。費用は数千円程度で郵便局またはWebから送れます。

Step2:家庭裁判所に「履行勧告・履行命令」を申し立てる(無料)

調停調書・審判書がある場合、家庭裁判所に無料で「履行勧告」を申し立てられます。裁判所から相手に「支払いなさい」という通知が届きます。強制力はありませんが、心理的プレッシャーになる効果があります。

Step3:強制執行(差し押さえ)で給与・預金を直接回収する

最終手段として給与・預金・不動産の差押えができます。

  • 給与の差押えは手取りの最大2分の1まで可能
  • 一度差し押さえれば毎月自動的に振り込まれる仕組みになる
  • 2026年改正後は合意書でも先取特権が使えるが、公正証書・調停調書があれば手続きがより確実

手続きが複雑なため弁護士への相談をおすすめします。法テラスを利用すれば収入が一定以下の場合は費用の立替制度が使えます。

時効に注意:養育費の請求権は5年で消滅する

養育費の請求権は各月の支払期日から5年で時効消滅します。「5年以上前の未払い分は請求できない可能性がある」という現実があります。ただし内容証明郵便の送付・調停の申立てで時効を中断できます。未払いに気づいたら早めに行動することが重要です。

まとめ:養育費は子どもの権利。相場を知って、確実に取り決めよう

養育費は「恵んでもらうもの」ではなく「子どもの権利」です。子どもが親から扶養を受ける権利を守るために、正しい相場を知り、適切に取り決めることが最も重要な行動です。

今日からできる3つの行動
① 裁判所の算定表で自分のケースの養育費目安を確認する
② 書面(公正証書または離婚協議書)で必ず取り決める
③ 払われなくなったら段階的に法的手段を取る取り決めをしていない場合は今すぐ養育費請求調停を申し立てましょう(費用:1,200円〜)

※本記事の情報は2026年時点のものです。制度・金額・支援内容は改定される場合があります。最新情報は各公的機関の公式サイトまたはお住まいの市区町村窓口でご確認ください。
※本記事は法律の一般的な解説を目的としたものであり、個別の法律相談の代替となるものではありません。具体的なご事情については弁護士または法テラスにご相談ください。

参考・出典

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