「絶対に共同親権にしたくない」「拒否する方法を知りたい」——その疑問に正面から答えます。DVやモラハラがあった場合、共同親権を拒否できる可能性は高いです。ただし「嫌だから」という理由だけでは拒否できないケースもあります。
この記事では、共同親権を拒否できる条件・手続き・今からできる対策を法的根拠とともに整理しました。
【結論】共同親権は拒否できる?できない?

「共同親権を拒否できるか」の答えは、状況によって変わります。まず構造を整理します。
基本ルール:相手と合意しなければ共同親権にはならない
協議離婚(話し合いで離婚する場合)では、どちらか一方が共同親権に同意しなければ共同親権にはなりません。あなたが「嫌だ」と言えば、それだけで共同親権の合意は成立しません。
離婚届には「親権者」を記入する欄があります。協議離婚の場合、親権者について両者が合意した内容を記入します。一方が共同親権を希望しても、あなたが同意しなければ協議離婚の段階では単独親権になります。
ただし例外あり:裁判所の判断で共同親権になるケースもある
協議で合意できない場合、相手方が家庭裁判所に調停・審判を申し立てることができます。この場合、裁判所が「子の利益」を基準に親権の形態を決定します。
改正民法の規定上、裁判所は共同親権が「子の利益にかなう」と判断した場合、一方が反対していても共同親権を命じる可能性があります。これが「拒否できないケースもある」という現実です。ただしDVやモラハラが認定される場合は、法律上、裁判所が単独親権を定めなければなりません。
拒否できるかの判断基準は「子の利益」と「関係性」
裁判所が共同親権か単独親権かを判断する際の基準は「子の利益」と「父母の関係性・協力可能性」です。「親が嫌か嫌でないか」ではなく「共同親権が子どもにとってプラスになるか」が問われます。
父母間の関係が高葛藤(対立が激しく、協力が難しい関係)であったり、協力が期待できない事情があれば、共同親権の拒否が認められやすくなります。
結論:DV・モラハラ・関係断絶があれば拒否できる可能性が高い
結論:DVや虐待のおそれがある場合、改正民法第819条第7項により、裁判所は必ず単独親権を定めます。モラハラ・長期間の関係断絶・養育費不払いが続いているケースも、共同親権の拒否が認められやすいです。
参考:法務省|民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

共同親権はどうやって決まるのか:協議・調停・審判の3ステップ

「今自分はどの段階にいるのか」を把握することが、対策を立てる上で重要です。
協議離婚の場合:合意できなければ裁判所へ
まず夫婦間で話し合い(協議)を行います。協議で単独親権・共同親権のどちらかに合意できれば、その内容で離婚届を提出します。この段階では相手が共同親権を希望しても、あなたが同意しなければ共同親権にはなりません。
協議がまとまらない場合、相手方が家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることができます。調停は裁判官や調停委員が間に入って話し合いを進める手続きです。調停でも合意できない場合は「審判」または「裁判」に進みます。
| 段階 | 内容 | 拒否の効力 |
|---|---|---|
| ① 協議 | 夫婦間の話し合い | 合意しなければ共同親権にはならない |
| ② 調停 | 裁判所の調停委員を交えた話し合い | 合意しなければ共同親権にはならない |
| ③ 審判・裁判 | 裁判官が判断 | 裁判所が「子の利益」で決定(拒否できない場合も) |
裁判所が判断する場合:一方が反対でも共同親権になりうる現実
審判・裁判の段階では、裁判所が「子の利益」を基準に共同親権か単独親権かを決定します。一方が反対していても、裁判所が「共同親権が子の利益にかなう」と判断すれば共同親権が命じられます。
ただしこの場合も、DVや虐待のおそれがあると認定されれば、法律上、裁判所は必ず単独親権を定めます(改正民法第819条第7項)。「裁判所に判断が委ねられた=必ず共同親権になる」ではありません。証拠を揃えて単独親権の必要性を主張することが重要です。
共同親権を拒否するために必要な条件と対策

共同親権の拒否が認められやすい条件と、認めてもらうために今からできる準備を整理します。
拒否が認められる主な条件
以下の事情がある場合、共同親権の拒否(単独親権の維持・取得)が認められやすいです。
| 事情 | 拒否のしやすさ | 根拠・ポイント |
|---|---|---|
| DV・身体的暴力がある | 確実に拒否できる | 改正民法第819条第7項で単独親権が義務付け |
| モラハラ・精神的DV | 認められやすい | 証拠が重要。記録・診断書を整理する |
| 子どもへの虐待 | 確実に拒否できる | 改正民法第819条第7項で単独親権が義務付け |
| 長期間の養育費不払い | 認められやすい | 養育への関心・責任感がないと判断される |
| 長期間の面会交流なし | 認められやすい | 親子関係の希薄さが考慮される |
| 長期間連絡が取れない | 認められやすい | 協力関係が成立しないと判断される |
裁判所に認めてもらうために必要な証拠とは?
「DVがあった」「モラハラがあった」と主張するだけでは足りません。裁判所が認定するためには、具体的な証拠が必要です。
- 身体的DV:病院の受診記録・診断書・受傷写真・警察への相談記録
- モラハラ・精神的DV:暴言のメッセージ・録音・日記(日時・内容を詳細に記録)
- DVシェルター・配偶者暴力相談支援センターへの相談記録
- 養育費不払い:振込記録・取り決め書類・催告した記録
- 面会交流不履行:実施されていないことを示す記録・連絡履歴
- 自分が主たる養育者であることの証拠:保育園・学校の連絡帳、健診記録、習い事の領収書
証拠は「今すぐ」集め始めることが重要です。離婚後・手続き開始後に証拠を集めようとしても、相手が記録を消したり連絡を断ったりする可能性があります。
今からできる具体的な対策
- ① DVや被害の記録を今すぐ始める(日付・内容・目撃者を記録)
- ② 受診した医療機関の記録を保管する
- ③ 配偶者暴力相談支援センターや女性相談支援センターに相談し、相談記録を残す
- ④ 子どもの養育に自分が主体的に関わっていることを記録する
- ⑤ 相手からのメッセージ・メール・音声をすべてバックアップ保存する
- ⑥ 信頼できる人(家族・友人)に状況を話しておく(証言者を確保する)
弁護士に相談すべきタイミングと理由
以下のタイミングでは、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
- 相手から「共同親権にしたい」という連絡が来たとき
- 調停の申し立てを受けたとき
- 離婚を決意したが、相手がDVやモラハラをしている場合
- 相手が弁護士を立てていることを知ったとき
弁護士に依頼することで、証拠の集め方・調停での主張方法・審判への対応を専門的にサポートしてもらえます。費用が心配な場合は法テラス(日本司法支援センター)を活用することで、収入が一定以下の場合は費用の立替制度を利用できます。
共同親権を拒否できないケースとは?

正直にお伝えします。以下のような状況では、共同親権を拒否することが難しい場合があります。
DVや虐待などの問題がなく、父母の関係が良好な場合
DVやモラハラ・虐待の事実がなく、父母の関係が比較的良好な場合、裁判所が共同親権を命じる可能性があります。「嫌いだから」「関わってほしくないから」という理由だけでは、単独親権が認められにくいです。
子どもの養育に父母双方が関わっている場合
離婚前から両親が積極的に子育てに関わっていた実績がある場合、共同親権が子の利益にかなうと判断される可能性があります。特に相手が定期的に面会交流を行い、養育費も支払ってきた場合は、共同親権が認められやすくなります。
父母間で一定の協力関係が築けていると判断される場合
子どもの学校行事・医療・進学などで両親が協力してきた実績がある場合、「共同親権でも円滑に子育てできる」と判断される可能性があります。
裁判所が「共同親権が子の利益にかなう」と判断した場合
最終的には裁判所が「子の利益」を基準に判断します。一方が反対していても共同親権が命じられる可能性はゼロではありません。ただしその場合も、あなたには調停・審判の中で意見を述べる機会があります。
「共同親権にしたくない」という意思を、具体的な事情と証拠とともに裁判所に伝えることが重要です。感情的な反対ではなく「なぜ子の利益に反するのか」を具体的に説明できることが鍵です。
既に離婚済みの場合:元夫から共同親権変更を申し立てられたら?

既にシングルマザーとして生活している方にとって最も不安なシナリオ——「元夫から共同親権への変更を申し立てられた場合」の対処法を整理します。
変更申立てが認められる条件と認められない条件
既に単独親権が定まっている場合、元夫が共同親権への変更を求めるには家庭裁判所への「親権者変更調停の申し立て」が必要です。申し立てがあっても、自動的に共同親権になるわけではありません。
| ケース | 変更の認められやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| DVやモラハラがある | 変更されない | 改正民法第819条第7項で単独親権が義務付け |
| 長年養育費を払っていない | 認められにくい | 養育への責任感がないと判断される |
| 長年面会交流がない | 認められにくい | 親子関係が希薄と判断される |
| 子どもが現在の環境に安定している | 認められにくい | 現状変更の必要性が低いと判断される |
| 長期間連絡が取れなかった | 認められにくい | 協力関係が成立しないと判断される |
| 父母の関係が良好で協力できる | 認められる可能性あり | 子の利益に資すると判断される場合も |
申立てが来た場合に今すぐやること・準備すること
元夫から親権者変更の申し立てがされた場合、以下の3点を最優先で行動してください。
最優先の3つのアクション
① 弁護士に相談する(法テラスを利用すれば費用の立替制度あり)
② DVやモラハラの証拠を整理・保全する(削除される前に保存)
③ 自分が主たる養育者であることを示す記録を集める(保育園・学校の記録、健診記録など)
調停の中ではあなたが意見を述べる機会があります。「なぜ単独親権が子の利益になるか」を具体的に、証拠とともに主張しましょう。一人で対応せず、必ず弁護士に依頼することをおすすめします。

相談窓口・支援機関まとめ

一人で抱え込まないでください。あなたが相談できる窓口を整理します。
| 相談窓口 | 対応内容 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 法テラス(日本司法支援センター) | 弁護士紹介・費用立替制度(収入が一定以下の場合) | 電話:0570-078374(平日9〜21時・土曜9〜17時)※祝日・年末年始を除く |
| 配偶者暴力相談支援センター | DVの相談・一時保護・法的手続きのサポート | 各都道府県に設置(24時間対応の窓口もあり) |
| DV相談ナビ(#8008) | 近くの相談窓口につないでもらえる | 電話:#8008(全国共通) |
| 女性相談支援センター | DV・離婚・生活全般の相談 | 各都道府県に設置 |
| 市区町村の家庭相談窓口 | 親権・養育・生活支援の相談 | お住まいの市区町村役所 |
| こども家庭庁ひとり親サポートポータル | 各種支援制度・相談窓口の案内 | https://support-hitorioya.cfa.go.jp/ |
DV被害者の場合、証拠が十分でなくても相談窓口は対応してくれます。「証拠がないから相談できない」と思わずに、まず電話してみてください。
まとめ:共同親権の拒否は「証拠と準備」が9割。一人で悩まず今日から動こう
「共同親権を拒否したい」という気持ちはよくわかります。ただ、その思いを現実に活かすためには「正確な情報と証拠の準備」が必要です。感情だけでは法的な戦いに勝てませんが、正しい準備をすれば確実に道は開けます。
まとめ:拒否するための3ステップ
① 自分の状況が「拒否できるケース」に当てはまるか確認する → DVやモラハラがある場合は法律上の保護がある
② 今すぐ証拠を集め始める → 記録・受診記録・メッセージ・相談記録を保存
③ 弁護士または相談窓口に今日中に連絡する → 一人で判断せず、専門家のサポートを受ける
「証拠がない」「お金がない」「どこに相談すればいいかわからない」という壁を感じている方へ——法テラスを使えば費用の心配は解決できます。配偶者暴力相談支援センターは証拠がなくても相談できます。まず今日、一歩だけ動いてください。
※本記事の情報は2026年時点のものです。制度・金額・支援内容は改定される場合があります。最新情報は各公的機関の公式サイトまたはお住まいの市区町村窓口でご確認ください。
※本記事は法律の一般的な解説を目的としたものであり、個別の法律相談の代替となるものではありません。具体的なご事情については弁護士または法テラスにご相談ください。
参考・出典
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
- こども家庭庁「ひとり親家庭等関係」https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/
- こども家庭庁「ひとり家庭のためのポータルサイト」https://support-hitorioya.cfa.go.jp/
- 法テラス(日本司法支援センター)https://www.houterasu.or.jp/
- 内閣府「配偶者からの暴力被害者支援情報」https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/index.html
- DV相談ナビ #8008 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/dv_navi/index.html
