「今の働き方がこの先もずっと続くのか」「子どもが大きくなったらどう変えればいいのか」——シングルマザーとして働く中で、こういった長期的な不安を持つことは自然なことです。
この記事では「子どもの成長段階に合わせて働き方を変えていく」という視点で、4つのフェーズに分けて整理します。「今の自分はどのフェーズにいるか」を確認しながら、次のステージに向けた準備を始めるヒントにしてください。
シングルマザーの働き方は「固定」ではなく「段階的に変える」もの

「今の働き方が正解かどうか」より、「今のフェーズで何を準備しておくか」の方が大切です。働き方は一度決めたら終わりではなく、子どもの成長に合わせて変えていくものです。
シングルマザーの働き方には「4つのフェーズ」がある
子どもの成長段階によって、優先すべき働き方の軸が変わります。4つのフェーズで整理すると、今の自分の立ち位置と次に何をすべきかが見えてきます。
| フェーズ | 子どもの年齢 | この時期の優先軸 |
|---|---|---|
| ①乳幼児期 | 0〜6歳 | 生活の安定・柔軟性の確保 |
| ②小学生期 | 7〜12歳 | 収入を増やすための土台づくり |
| ③中高生期 | 13〜18歳 | キャリアの本格稼働・収入の最大化 |
| ④子ども自立後 | 18歳以降 | 自分自身のキャリアと老後の設計 |
「今のフェーズで低収入なのは仕方ない・でも次のフェーズに向けた準備を今からしておく」——この視点を持つだけで、目の前の状況に対する焦りが減ります。
シングルマザーの就業率は86%・でも年収は平均272万円
令和3年度全国ひとり親世帯等調査によると、シングルマザーの就業率は86.3%と非常に高い一方、年収の平均は約272万円にとどまっています。
「働いているのに収入が上がらない」のは、子どもが小さい時期には時間的制約から低収入の働き方にならざるを得ない、という構造的な背景があります。「自分だけが低収入なのではない」ことを知っておくことが、現状を正確に把握する出発点になります。
フェーズ①乳幼児期の働き方|生活を守りながら土台を作る

フェーズ①:乳幼児期(子どもの年齢0〜6歳(保育園・幼稚園在籍中))
産後〜保育園・幼稚園の時期は「収入より安定・柔軟性」が最優先です。急な発熱・病気での欠勤が多く、「高収入より融通が利くこと」を優先せざるを得ないフェーズです。
乳幼児期は「続けられること」が最優先
子どもが小さい時期は、仕事の選択肢が限られます。「完璧な働き方」より「続けられる働き方」を選ぶことが、長期的には正解になります。
| 働き方の選択肢 | 乳幼児期の適性 |
|---|---|
| パートタイム | 時間の融通が利く。扶養範囲内で働く選択肢も。収入は低めだが継続しやすい |
| 時短正社員 | 社会保険・ボーナスあり。フルタイムより時間的余裕。乳幼児期の保育料にも影響 |
| 在宅ワーク(業務委託) | 保育園の送迎・急な休みに最も対応しやすい。収入は安定しにくい場合もある |
「今の段階でキャリアが止まっているように見えても、続けること自体がキャリアの土台になっています」——乳幼児期の働き方は次のフェーズへの伏線です。
【体験談】産後フリーランスを選んだ理由と乳幼児期の働き方
産後少し経ってから在宅でできる仕事を続けてきました。子どもが小さいうちは収入より時間の融通を優先しました。
子どもが熱を出しても仕事の調整ができる・幼稚園の送迎に間に合う。その代わり収入は抑えめでしたが、この時期に在宅でのスキルと実績を積んだことが、子どもが大きくなってから収入を上げる土台になりました。「乳幼児期は低収入でも焦らなくていい」——この時期の働き方は、その後のキャリアの伏線になっています。
乳幼児期に「次のフェーズ」の準備をしておく
子どもが小さい時期でも、少しずつスキルアップ・資格取得の準備を進めておくことが、子どもが小学校に上がった時の収入アップに直結します。
「高等職業訓練促進給付金」を活用すれば、看護師・保育士・介護福祉士などの資格取得中に月10万円前後の給付金を受け取りながら学ぶことができます。乳幼児期から準備を始めることで、小学生期に入ったタイミングで一気に動けるようになります。

フェーズ②小学生期の働き方|収入を増やす本格稼働の準備期

フェーズ②:小学生期(子どもの年齢7〜12歳(小学校在籍中))
子どもが小学校に入ると「学童を使える・帰宅後に一人でいられる時間が増える」という環境変化が起きます。このフェーズを「小1〜3の壁期」と「小4〜6の本格稼働期」の2段階で整理します。
小1〜小3は「継続しながら土台を固める」時期
小学校入学直後は、保育園と異なる時間帯への対応(下校時間・学童の手続き・PTAへの対応)が必要で、一時的に忙しくなります。
「入学直後に大きく働き方を変えず、小1の壁を乗り越えてから動く」というのが現実的です。この時期は正社員登用制度のある職場でパートをしながらスキルアップの準備を続けることが、小4以降の本格稼働につながります。

小4〜小6が正社員化・転職・稼働量アップの絶好機
小学校高学年になると子どもが一人で留守番できるようになり、フルタイム・残業・転職という選択肢が一気に広がります。
「中学進学前の小5〜小6が、収入を大きく変えるための行動を起こす最初のタイミング」です。「今の職場で正社員を目指す・転職して年収を上げる・フリーランスとして単価を上げる」という選択肢から、自分の状況に合った方向に動き始めてください。

フェーズ③中高生期の働き方|キャリアを本格稼働させる黄金期

フェーズ③:中高生期(子どもの年齢13〜18歳(中学・高校在籍中))
子どもが中学生以降になると、急な欠勤が激減し・帰宅時間が遅くなり・一人で生活管理ができるようになります。「働ける時間・エネルギーが最大化するフェーズ」です。
中学生以降はシングルマザーの「キャリアの黄金期」
このフェーズでは、乳幼児期・小学生期に積んできたスキルと実績を最大化するタイミングです。
「この時期に収入の天井を上げることに集中する」——そのための具体的な選択肢は個人のスキル・経験によって異なりますが、方向性は3つに整理できます。「今の職場でのキャリアアップ」「転職による年収アップ」「フリーランスとしての単価アップ」の中から、自分に合った方向に全力を向けてください。
中高生期に取り組むべきキャリアアップの選択肢
| 方向性 | 具体的なアクション | 向いている人 |
|---|---|---|
| 正社員化・昇格・管理職チャレンジ | 今の職場での昇格・転職で年収アップ・管理職へのチャレンジ | 安定収入を優先したい・組織で働くことが好きな方 |
| フリーランスとしての単価アップ | 専門性の強化・ポートフォリオの拡充・単価交渉 | 在宅ワーク・時間の自由を維持したい方 |
| 資格取得による収入アップ | 看護師・社会福祉士・宅建・FP等の資格取得 | 手に職をつけたい・専門職に転換したい方 |


高校卒業後に児童扶養手当が終わることへの備え
子どもが18歳(年度末)で児童扶養手当・児童手当が終了します。毎月受け取っていた数万円が手元からなくなる現実に備えて、中高生期のうちに収入を上げておくことが生活水準を維持するための準備になります。
「高校卒業後に手当が終わる。それまでに今の年収を〇万円上げる」という具体的な目標を中高生期のうちに設定することをおすすめします。漠然と「なんとかなる」ではなく、逆算したキャリア計画を立てることが重要です。

フェーズ④子ども自立後の働き方|自分のキャリアと老後を設計する
フェーズ④:子ども自立後(子どもが18歳以降・独立してから)
子どもが自立した後という「シングルマザーとしての子育てフェーズの終わり」は、新しいステージの始まりでもあります。
子育て卒業後は「自分のための」キャリアを設計できる
子どもが自立した後は、子育てへの時間・エネルギーの制約がなくなり、純粋に「自分がやりたいこと・収入を最大化したいこと」に集中できるフェーズになります。
「このフェーズを見据えて中高生期のうちにスキル・実績・人脈を作っておくことが重要」という観点は、前のフェーズで先手を打つための理由になります。「子どもが自立した後にやりたいことは何か」を今から考えておくと、現在のキャリアの方向性が定まりやすくなります。
老後の備えを今から始める
子どもが自立した後は、老後の収入設計(iDeCo・つみたてNISA・厚生年金加入状況の確認)を本格的に考えるタイミングです。
「子育てが終わったら考えよう」と後回しにしていると、老後の準備に使える時間が少なくなります。特にiDeCoは60歳まで引き出せないため、早期に始めるほど複利効果が大きくなります。今のフェーズに関係なく、少額からでも始めておくことをおすすめします。


シングルマザーの働き方を変えるタイミングで使える支援制度

フェーズが変わるタイミングで活用できる支援制度を横断的に整理します。「知らなかった」で使い損ねないよう、早めに確認しておいてください。
スキルアップ・資格取得の支援
どのフェーズでも使える制度ですが、乳幼児期〜小学生期のうちに活用するとその後の収入アップに直結しやすいです。
| 制度名 | 内容 | 特に有効なフェーズ |
|---|---|---|
| 高等職業訓練促進給付金 | 看護師・保育士・介護福祉士等の国家資格取得中に月10万円前後を最長4年支給(返済不要) | フェーズ①② |
| 自立支援教育訓練給付金 | 指定の教育訓練講座の受講料を最大60%(上限20万円)補助 | フェーズ①②③ |

マザーズハローワーク:転職時の無料相談・職業訓練
マザーズハローワーク(マザーズコーナー)は、子育て中のひとり親の就職支援に特化したハローワークの専門窓口です。求人紹介・履歴書添削・面接練習・職業訓練の案内まで無料で受けられます。
フェーズが変わるタイミング(小学校入学後・高学年・子どもが自立後など)で相談に行くと、今の自分に合った働き方の選択肢を一緒に整理してもらえます。「転職したいけどどうすればいいかわからない」という段階でも相談できます。
まとめ:シングルマザーの働き方は今のフェーズを確認して「次の準備」を始める
シングルマザーの働き方は4つのフェーズで変わります。「今の働き方が正解かどうか」より「今のフェーズで何を準備しておくか」の方が重要です。
乳幼児期は「続けること」・小学生期は「土台を固めて本格稼働の準備」・中高生期は「収入の天井を上げる黄金期」・子ども自立後は「自分のキャリアと老後を設計する」——それぞれのフェーズで優先すべきことが変わります。
「今のフェーズはどれか・次のフェーズに向けて今から準備できることは何か」を確認することが、長期的な収入の安定につながります。
※この情報は2026年9月現在のものです。制度・金額・法律の内容は改定される場合があります。最新の情報は各公的機関・窓口でご確認ください。
参考・出典
- こども家庭庁「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/reserch_single-parent_households
- こども家庭庁「ひとり親家庭等関係」https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya
- 厚生労働省「マザーズハローワーク事業」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21046.html
